ワインの世界は奥深く、多くの初心者はとっつきにくさを感じます。毎年11月に話題になるボジョレーヌーボーも、詳しく知らないと会話に参加できません。この記事では、ボジョレーヌーボーの歴史や特徴、楽しみ方を解説します。記事を読めば、ボジョレーヌーボーの基本的な知識が身に付き、ワインの話題に参加できます。
ボジョレーヌーボーは、フランスのボジョレー地区で造られる新酒ワインです。毎年11月の第3木曜日に解禁されます。フルーティーな味わいが特徴であり、解禁日には世界中で祝賀会が開かれ、ワイン愛好家たちが新酒を楽しみます。

- 夫婦ともに日本ソムリエ協会認定の現役ソムリエ
- 仕事以外でも年間100本のワインを飲む愛好家
- 独自に評価基準を設定し、プロ目線で評価
- 男女それぞれの視点からもワインをレビュー



ワインのプロが、初心者の人にもわかりやすく解説します。
ボジョレーヌーボーとはボジョレー地区で造られるワインの新酒


ボジョレーヌーボーについて、以下の項目を解説します。
- ボジョレーヌーボーの語源
- ボジョレーヌーボーの歴史
» ワインを楽しむなら知っておきたい!ワインの基礎知識を理解しよう
ボジョレーヌーボーの語源
ワインの名前を知ると、特徴や魅力をより深く理解できます。ボジョレーヌーボーの語源は、フランス語の”Beaujolais nouveau”です。“Beaujolais”はフランスのワイン産地名で、”nouveau”はフランス語で「新しい」を意味します。
直訳すると「新しいボジョレー」です。新酒や若いワインを意味し、ボジョレーヌーボーの産地と特徴を簡潔に表現しています。日本語では「ボジョレー・ヌーヴォー」と表記される場合もあります。
ボジョレーヌーボーの歴史
ボジョレーヌーボーの歴史は、以下のとおりです。
- 1951年:ボジョレー地方のワイン生産者が新酒の販売を始める
- 当初は地元での人気にとどまっていました。
- 1960年代:パリの飲食店に登場する
- パリで注目を集めました。
- 1970年代:フランス国内で広く知られる
- ボジョレーヌーボーの人気が急速に拡大します。
- 1980年代:国際的なマーケティングキャンペーンが展開される
- ボジョレーヌーボーが世界中で注目されます。
- 1990年代:毎年11月の第3木曜日を「解禁日」に設定する
- 解禁日を中心に、世界中でボジョレーヌーボーを楽しむ文化が定着しました。
- 2000年代以降:品質向上や多様化により、高級化が進む
- 生産者たちは、より洗練された味わいを追求し、ボジョレーヌーボーのイメージアップに努めています。
近年では、環境への配慮や持続可能な生産方法が話題です。有機栽培やビオディナミ農法を取り入れ、より自然な味わいのボジョレーヌーボーが生産されています。
ボジョレーヌーボー・3つの特徴


ボジョレーヌーボーの特徴について、以下の項目を解説します。
- ブドウの品種
- ボジョレーヌーボーの醸造方法
- ボジョレーヌーボーの味わいと風味
ブドウの品種
ボジョレーヌーボーの主要品種はガメイ種です。ガメイ種は赤ワイン用のブドウで、ボジョレー地方を代表する品種になります。ガメイ種の特徴は以下のとおりです。
- 早熟で収穫が早い
- 薄皮で果汁が多い
- タンニンが少ない
- 味わいが軽い
- 酸味が強い
- 渋みが少ない
ガメイ種から作られるワインは若飲みに適しています。ガメイ種はフルーティーでフレッシュな味わいが楽しめるため、ボジョレーヌーボーのような新酒に最適です。ガメイ種はフランスのAOC規定でも認められており、ボジョレーヌーボーの個性的な味わいに欠かせません。
ボジョレーヌーボーの醸造方法


ボジョレーヌーボーで主に使用される醸造方法は、マセラシオン・カルボニック法です。通常のワインとは異なる醸造方法で、ボジョレーヌーボーのフルーティーで軽やかな味わいを生み出します。マセラシオンとは「色素や渋みを抽出する工程」で、カルボニックは「炭素」のこと。つまり、二酸化炭素でタンクを満たし、ブドウの色素や渋みを抽出する方法です。



二酸化炭素でブドウの皮が破れやすくなり、ブドウの重みで果汁が出る仕組みです。
マセラシオン・カルボニック法は全房発酵です。全房発酵ではブドウを丸ごと使用し、除梗せずに発酵させます。
二酸化炭素を充填した低温(20〜25℃)のタンクで、約1週間かけてブドウを発酵させます。アルコール発酵と果皮浸漬が同時に進む点が特徴です。酵母添加を最小限に抑え、保存料や添加物を使いません。圧搾後、短期間で瓶に詰め、全工程を2〜3か月で終わらせます。
短期間で仕上げることで、ボジョレーヌーボーの新鮮さを維持します。



マセラシオン・カルボニックはフランス語。英語では「カルボニック・マセレーション」と言います。
ボジョレーヌーボーの味わいと風味
ボジョレーヌーボーの味わいと風味は、若々しさと新鮮さが感じられます。以下の点が特徴です。
- フルーティーで軽やかな味わい
- バナナやイチゴなどの果実の豊かな香り
- タンニンが少なく酸味がやさしい
- 渋みが少ない
- 口当たりが軽く、後味がすっきり
ボジョレーヌーボーの色合いは鮮やかな紫がかった赤で、見た目も楽しめます。アルコール度数は通常12〜13%程度です。ボジョレーヌーボーは赤ワインですが、一般的には軽く冷やして飲みます。樽熟成していないため木の香りはしません。ボジョレーヌーボーは、ワイン初心者にもおすすめです。



赤ワインは、タンニンによる「冷やしすぎると鉄っぽい味」がします。ボジョレーヌーボーは渋みが少ないので冷やし気味でも大丈夫です。



女性でもすいすい飲めちゃうので、飲みすぎに注意しましょう。
ボジョレーヌーボーの人気の理由


ボジョレーヌーボーの人気の理由について、以下の項目を解説します。
- 日本でのブームのきっかけ
- メディアとマーケティングの影響
日本でのブームのきっかけ
ボジョレーヌーボーの日本でのブームは、1985年ごろから始まりました。ブームの火付け役となったのは、サントリーによる大規模な広告です。「ボジョレーヌーボーが解禁された」というフレーズが一気に広まりました。毎年11月の第3木曜日が解禁日に設定された点も、多くの方の関心を集めました。
航空機による迅速な輸送や日本人の「新しいもの好き」文化とも相まって、ボジョレーヌーボーの人気が高まります。ボジョレーヌーボーがワインの入門として最適で、日本人がフランス文化に対して憧れていた点もブームの原因です。レストランやワインバーでは特別イベントが開催されました。
ボジョレーヌーボーの解禁日は、ワイン愛好家だけでなく一般の方々にも広く認知されています。
メディアとマーケティングの影響
メディアとマーケティングは、ボジョレーヌーボーの人気に大きく影響しています。以下の取り組みが効果を発揮し、多くの人々がボジョレーヌーボーに興味を持ちました。
- 大規模な広告展開
- テレビや雑誌での特集記事
- ソーシャルメディアでの話題づくり
- 限定商品としてのマーケティング戦略
- 「解禁日」を利用した需要喚起
- 日本の食文化と融合させたPR
- 若者向けのトレンディなイメージ作り
- 季節商品としての販売促進
メディアとマーケティングの取り組みは、ボジョレーヌーボーの人気を高め、ワイン業界全体の活性化にも貢献しています。
ボジョレーヌーボーの解禁日


ボジョレーヌーボーの解禁日は、毎年11月の第3木曜日です。解禁日について、以下の項目を解説します。
- 解禁日の由来
- 解禁日を祝うフランスと日本の文化
解禁日の由来
ボジョレーヌーボーの解禁日は単なる販売開始日だけではなく、以下の役割があります。
- 品質保証
- 新鮮さの維持
- マーケティング戦略
1951年、フランス政府は新酒の早期販売を防ぐために、ボジョレーヌーボーの販売解禁日を11月15日と定めました。1985年に、解禁日は11月の第3木曜日に変更されます。解禁日が変更され、ボジョレーヌーボーの解禁は世界中で同時に行われるイベントとなりました。
一斉解禁には話題性があり、解禁日はワイン業界にとって毎年の重要な節目になっています。
解禁日を祝うフランスと日本の文化
ボジョレーヌーボーの解禁日は、フランスと日本で大きな注目を集めます。フランスと日本での祝い方の違いは以下のとおりです。
比較項目 | フランス | 日本 |
イベント | 友人や家族とパーティやイベント | 解禁日前夜からのカウントダウンイベント |
お店 | レストランやバーで特別メニュー | 百貨店やワインショップに特設売り場 |
その他 | 生産者が特別なラベルやボトルをデザイン メディアが特集記事や番組を放送 | 企業が社内パーティーを開催 SNSの投稿が増加 |
解禁日には、フランスと日本のワイン文化の違いを感じられます。



11月第3木曜日の午前0時に解禁されますが、時差の関係で本場フランスより8時間早く味わえるため、日本は世界で最も早く解禁される国の一つとなっています。



なので、「世界で最も早くボジョレーヌーボーを味わえる」として、深夜からボジョレーヌーボーで盛り上がる習慣が日本で定着するわけです。
ボジョレーヌーボーの楽しみ方


ボジョレーヌーボーを最大限に楽しむには、飲み方と合わせる料理が大切です。以下の項目について解説します。
- ボジョレーヌーボーをおいしく飲むための温度と保存方法
- ボジョレーヌーボーに合う料理
ボジョレーヌーボーをおいしく飲むための温度と保存方法
ボジョレーヌーボーを最高の状態で楽しむには、適切な温度管理と保存方法が重要です。ボジョレーヌーボーの適温は10〜12℃です。冷やしすぎると香りや味わいが損なわれるため注意しましょう。適温を維持するには、ワインクーラーやアイスバケツが有効です。急激な温度変化は避けてください。
冷蔵庫から出した後は、10〜15分程度置いてから飲むと香りが開きます。開封後は冷蔵庫で保存し、3日以内に飲み切ってください。未開封の場合は、直射日光や高温多湿の場所は避け、涼しく暗い場所で立てて保存しましょう。長期保存せずに、購入後半年以内に飲むのが理想です。
» ワインの飲み方やマナー、テイスティングの手順を徹底解説!
ボジョレーヌーボーに合う料理
ボジョレーヌーボーは軽やかで果実味豊かなワインのため、重すぎない料理が適しています。以下の料理がおすすめです。
- フレッシュチーズ:ブリーやカマンベール
- シャルキュトリー:生ハムやパテ
- 鶏肉料理:ローストチキンやグリル
- 豚肉料理:ポークチョップ
- 白身魚料理:ムニエル
- サラダ:グリーンサラダやニース風サラダ
- キッシュ
- ラタトゥイユ
- マッシュルーム料理
- 軽めのパスタやピザ



和食の刺身や寿司、天ぷらなども合います。デザートには赤系のベリー類のフルーツがおすすめです。
» 特徴を活かす!ワインを使った料理と料理に合うワインの選び方
ボジョレーヌーボーの選び方


ボジョレーヌーボーの選び方について、以下のポイントを解説します。
- 初心者向けの選び方
- ワイン通向けの選び方
選び方のコツを知ると、ボジョレーヌーボーをより楽しめます。好みや状況に合わせて選びましょう。ボジョレーヌーボーを選ぶ際は価格帯も重要ですが、高価格が必ずしも高品質とは限りません。
初心者向けの選び方
初心者は、軽めの赤ワインのボジョレーヌーボーがおすすめです。フルーティーな香りのボジョレーヌーボーを探すと、飲みやすくなります。有名生産者のボジョレーヌーボーも良い選択です。価格帯は2,000〜3,000円程度のボジョレーヌーボーであれば、品質と価格のバランスが取れています。
冷蔵庫で30分程度冷やしてから飲み、大きめのグラスを使いましょう。開封後はすぐに飲み切ってください。飲み切れない場合は、数人で集まっていくつかの銘柄を少量ずつ試してみると、新たな発見があるかもしれません。ボジョレーヌーボーは1人でも楽しめますが、友人や家族と一緒に飲むとより味わいが深まるためおすすめです。
ボジョレーヌーボーが、新しい会話や思い出を生むきっかけにもなります。
通向けの選び方
ボジョレーヌーボーを深く楽しむには、生産者や畑の特徴を理解する点が重要です。生産地の自然条件の違いがわかると、ボジョレーヌーボーの奥深さを感じられます。以下の楽しみ方ができます。
- ヴィンテージの違いを比較し、年ごとの特徴を知る
- 醸造方法の違いによる味わいの変化を感じる
- 希少な村名付きボジョレーを探す
- 複数の生産者のボジョレーヌーボーを同時に飲み比べる
- ボジョレー地方の他のワインと比較する
- 解禁直後と数か月後の味わいの変化を観察する
- フランスでの解禁イベントに参加する
- 生産者を訪問し、畑や醸造所を見学する
ボジョレーヌーボーに関するよくある質問


ボジョレーヌーボーに関するよくある質問は、以下のとおりです。
- ボジョレーヌーボーは熟成できる?
- 解禁日以降はいつまで楽しめる?
ボジョレーヌーボーは熟成できる?
ボジョレーヌーボーは通常、熟成には向きません。ボジョレーヌーボーの特徴であるフルーティーな香りと味わいは、時間が経つにつれて失われます。購入後6か月〜1年以内に飲み切りましょう。一部の高品質なボジョレーヌーボーは、数年の熟成が可能です。熟成させると果実味は落ちますが、複雑さが増す場合もあります。
一般的には早めに飲む方が適しています。保存する場合は冷暗所に横向きで寝かせて保管しましょう。
解禁日以降はいつまで楽しめる?
ボジョレーヌーボーは、解禁日から2〜3か月程度が飲み頃です。年末年始までが最もおいしく楽しめます。ボジョレーヌーボーは新鮮さが重要なため、早めに飲みましょう。遅くとも翌年の春ごろまでには飲んでください。保存状態が良ければ1年程度は飲めますが、長期保存には向きません。
まとめ


ボジョレーヌーボーは、ワイン初心者から通まで幅広い層に楽しまれる特別なワインです。フランスのボジョレー地区で造られる新酒で、フルーティーで軽やかな味わいが特徴です。毎年11月の第3木曜日に解禁され、世界中で話題を集めます。
ボジョレーヌーボーは10〜12℃に冷やして、軽い前菜や鶏肉料理、チーズなどと一緒に味わいましょう。初心者には有名生産者や評価の高いボジョレーヌーボーがおすすめです。通の人は小規模生産者や特定の村のボジョレーヌーボーを探すと、新たな発見があります。
解禁後2〜3か月はおいしく飲め、ゆっくり楽しめます。ボジョレーヌーボーを通じて、ワインへの理解を深めましょう。