ワインと料理の組み合わせ方は「ワインペアリング」と言われています。ワインペアリングを知らないと、ワインの魅力を十分に楽しめません。この記事では、ワインペアリングの基礎知識から具体的な組み合わせ例、楽しみ方のコツまで詳しく解説します。

- 夫婦ともに日本ソムリエ協会認定の現役ソムリエ
- 仕事以外でも年間100本のワインを飲む愛好家
- 独自に評価基準を設定し、プロ目線で評価
- 男女それぞれの視点からもワインをレビュー
記事を読めば、初心者でも自信を持ってワインを選べ、料理との相性を楽しめます。ワインペアリングの基本は、色や産地、香り、味わいの組み合わせです。ルールにとらわれず、自分の好みを大切に楽しみましょう。
» ワインを楽しむなら知っておきたい!ワインの基礎知識を理解しよう



ワインのプロが、初心者の人にもわかりやすく解説します。
ワインペアリングの基礎知識


ワインペアリングの基礎知識として、目的とマリアージュとの違いを解説します。
ワインペアリングの目的
ワインペアリングの目的は、料理とワインの相性を最大限に引き出す点です。料理の味わいを引き立て、新しい味の発見や体験をもたらします。食事の満足度を高めるのに効果的です。ワインと料理の相乗効果により、日常の食事が特別な時間へと変化します。
ペアリングを学ぶ過程では、ワインの多様性や料理との文化的な結びつきへの理解も深められます。
ペアリングとマリアージュの違い
ペアリングとマリアージュは、どちらも食事とワインの組み合わせですが、意味の異なる点が特徴です。ペアリングは意図的な組み合わせを指し、技術的な側面を意味します。マリアージュは、自然な調和を重視する概念です。マリアージュは「結婚」を意味するフランス語に由来し、食事とワインの深い融合を表現します。
ペアリングは幅広い組み合わせを指し、マリアージュは特に優れた相性を指します。両者の違いを理解すると、より深い味わいの探求が可能です。



上記にあるペアリングの「技術的な側面」とは、味や香りの相性を考え理論的にペアを選ぶことです。



ペアリングとマリアージュの違いは、具体性の違いです。日常でワインを楽しむ分にはペアリングで十分です。マリアージュはソムリエのいるレストランで楽しんでみましょう。
ペアリングとマリアージュの違いの例
「赤ワイン(カベルネ・ソーヴィニヨン)」 × 「ステーキ」
▶マリアージュでは・・・
「シャトー・ラトゥール 2000年(ボルドー・メドック)」 × 「神戸牛サーロインステーキ(ミディアムレア)」
「ソーテルヌ × フォアグラ」
▶マリアージュでは・・・
「シャトー・ディケム 1997 × フランス産仔鴨のフォアグラ ポワレ トリュフソース
ワインペアリングの基本ルール


ワインペアリングの基本ルールとして、以下が挙げられます。
- 色を合わせる
- 産地を合わせる
- 香りや味わいを合わせる
- 温度を合わせる
- 対照的なものを合わせる
色を合わせる
ワインと料理の色を合わせるのは、ペアリングの基本です。赤ワインは赤身肉、白ワインは白身肉や魚介類と相性が良く、ロゼワインは幅広い料理に合います。料理の色の濃さに応じたワインの選択も重要です。濃い色の料理には濃い色のワイン、淡い色の料理には淡い色のワインが適しています。
トマトベースの料理や炭火焼きには赤ワイン、サラダや前菜には白ワインやロゼワインが合うなど、例外もあります。色を合わせるルールは、初心者にとってわかりやすい指針です。ただし、個人の好みを一番大切にしましょう。
産地を合わせる
産地を合わせるのは、ワインと料理のペアリングを成功させる重要なポイントです。同じ地域の料理とワインを組み合わせると、地域の気候や風土が反映された相性の良さを楽しめます。おすすめの組み合わせは、以下のとおりです。
- フランス料理とフランスワイン
- イタリア料理とイタリアワイン
- スペイン料理とスペインワイン
- 日本料理と日本ワイン
- 地中海料理と地中海沿岸のワイン
- 新世界料理と新世界ワイン
地域の伝統的な組み合わせを参考にすれば、より深いペアリングの楽しみ方を見つけられます。
香りや味わいを合わせる


ワインと料理の香りや味わいを合わせると、ペアリングを簡単に楽しめます。酸味のある料理には酸味のあるワインが最適です。タンニンの強いワインは、脂肪分の多い肉料理と合わせましょう。甘い料理には甘口のワイン、スパイシーな料理には果実味豊かなワインを選びます。
料理の風味の強さに合わせてワインの重さを調整してください。ハーブや柑橘、燻製など料理の特徴的な香りとワインの香りを調和させると、深い味わいを楽しめます。
温度を合わせる
ワインを美味しく楽しむ秘訣は、温度管理です。赤ワインは室温、白ワインは冷蔵庫から少し温めた状態、スパークリングワインは十分に冷やしましょう。温かい料理には常温のワイン、冷たい料理には冷やしたワインを選ぶと、味わいのバランスが良くなります。
温度が高いとアルコール感が強くなり、低いと繊細な香りや味わいが損なわれます。最初は難しく感じるかもしれませんが、少しずつ経験を重ねて、自分に合うワインの温度を見つけましょう。初心者でも簡単に実践できるワイン選びの基本的なポイントです。



赤ワインの室温とは、本場ヨーロッパの気温である15~18度のことです。日本での室温と勘違いしている人も多くいるので注意しましょう。
対照的なものを合わせる
対照的なものを合わせるペアリングは、意外性のある組み合わせで新しい味わいを楽しめます。料理とワインの特徴を対比させると、互いの良さを引き立て合います。以下の組み合わせが代表的な例です。
- 濃厚な料理と軽やかなワイン
- 酸味のある料理と丸みのあるワイン
- スパイシーな料理とフルーティなワイン
- 甘い料理と辛口のワイン
- 塩味の強い料理と酸味のあるワイン
濃厚なクリームパスタには、軽やかな白ワインを合わせるとバランスが取れます。対照的な組み合わせで、料理とワインの新しい魅力を発見してください。
ワインペアリングの具体例


ワインペアリングの具体例は、以下のとおりです。
- トマト料理と白ワイン
- チーズと赤ワイン
- シーフードとスパークリングワイン
- デザートと甘口ワイン
トマト料理と白ワイン
トマト料理と白ワインの相性は抜群です。ソーヴィニヨン・ブランやシャルドネが相性良く、料理の味わいを引き立てます。生トマトのサラダにはフレッシュな白ワインが合います。トマトリゾットには辛口の白ワイン、トマトスープには酸味のある白ワイン、ガスパチョには冷やしたロゼワインがおすすめです。
イタリアのトマト料理にイタリアの白ワインを合わせるなど、地域性を意識したペアリングも楽しめます。
チーズと赤ワイン
チーズと赤ワインの組み合わせは、ワインの楽しみ方を広げます。熟成したハードチーズには重厚な赤ワイン、フレッシュチーズには軽めの赤ワインがおすすめです。タンニンの強い赤ワインは脂肪分の多いチーズと相性が良く、塩味の強いチーズには果実味豊かな赤ワインが合います。おすすめの組み合わせは、以下のとおりです。
- パルミジャーノ・レッジャーノとバローロ
- カマンベールとピノ・ノワール
- ゴルゴンゾーラと甘口の赤ワイン
チーズボードを楽しむ際は、複数の赤ワインを用意しましょう。さまざまな組み合わせを試すと、新しい味わいを発見できます。
シーフードとスパークリングワイン


シーフードとスパークリングワインは、相性抜群の組み合わせです。魚介類の塩味とスパークリングワインの酸味が絶妙にマッチし、泡の清涼感が口中をリフレッシュして、次の一口を誘います。生牡蠣やカニ、エビなどの生臭さを抑えるのにも効果的です。
シャンパーニュやプロセッコなどのスパークリングワインは、シーフードとの相性が特に良くなります。海鮮BBQの際にも、スパークリングワインがおすすめです。赤身魚には、ロゼスパークリングが合います。高級感のあるスパークリングワインは、特別な日にぴったりです。
デザートと甘口ワイン
デザートと甘口ワインの組み合わせは、食事の締めくくりを華やかに演出します。デザートワインの種類は、貴腐ワインやアイスワイン、フォーティファイドワインなどさまざまです。チョコレートデザートには赤ワインベースの甘口ワイン、フルーツデザートには白ワインベースの甘口ワインが適しています。
クリームデザートにはシャンパーニュ、チーズデザートにはポートワインがおすすめです。甘さのバランスも重要です。デザートより甘いワインを選ぶと、調和が取れます。酸味のあるデザートには、酸味のあるワインを合わせましょう。



「フォーティファイドワイン」とは日本語で酒精強化したワインのことです。



代表的なフォーティファイドワインです。
【ポートワイン】ポルトガル
【マデイラワイン】ポルトガル領マデイラ島
【シェリー】スペイン
【マルサラワイン】イタリア・シチリア島
ワインペアリングの楽しみ方


ワインペアリングの楽しみ方として、以下が挙げられます。
- 日常の食卓で自分流のペアリングを考える
- ペアリングコースのあるレストランに行く
日常の食卓で自分流のペアリングを考える
日常の食卓でワインペアリングを楽しむのは、ワインの魅力を深く理解する絶好の機会です。好みの味や香りを意識して記録し、家族や友人と意見交換しながら楽しみましょう。食材の季節性や料理の調理法、味付けを考慮しながら、食事の前後でワインを変更したり、温度を調整したりするのがおすすめです。
失敗を恐れず、新しい組み合わせに挑戦すると、自分なりのペアリングセンスが磨かれます。さまざまな料理とワインの組み合わせを試して、ワインの楽しみ方を広げましょう。自分流のペアリングを見つけられます。
ペアリングコースのあるレストランに行く
ペアリングコースのあるレストランに行くと、ワインと料理による相性体験が可能です。プロのソムリエが料理に合わせて厳選したワインを提案してくれるため、自分では思いつかない組み合わせを楽しめます。ペアリングコースを通じて、ワインの基礎知識をレストランスタッフから学べます。
記念日や特別な日に利用すると、友人や恋人と一緒に楽しめる特別な体験が可能です。高級レストランだけでなく、リーズナブルな価格で楽しめる場所もあるため、予算に合わせて選びましょう。予約時にペアリングコースの有無を確認しておくと、より充実した体験が可能です。
ワインペアリングをさらに楽しむコツ


ワインペアリングをさらに楽しむコツは、以下のとおりです。
- 季節感を取り入れる
- ワインの知識を深める
- イベントやワークショップへ参加する
- 珍しいワインを取り入れる
季節感を取り入れる
季節に合わせてワインを選ぶと、より豊かな味わいを楽しめます。春はロゼワインや軽めの白ワイン、夏は冷やした白ワインやスパークリングワインがおすすめです。秋は赤ワインや熟成白ワイン、冬は重めの赤ワインやフォーティファイドワインが季節感を演出します。
旬の食材を使った料理に合うワインを選ぶと、味わいが一層引き立ちます。春の筍料理には軽やかな白ワイン、夏のグリル料理には冷やした赤ワインが最適です。季節の行事に合わせたワイン選びも楽しみましょう。お花見にはスパークリングワイン、クリスマスには赤ワインがおすすめです。
気温に応じてワインの温度を調整し、季節限定のワインを探すと、より豊かな季節のワインを体験できます。
ワインの知識を深める
ワインの基本的な特徴や種類を理解すると、自分好みのワインを見つけやすくなります。ワインの知識を深める方法は、以下のとおりです。
- ワインの種類と特徴
- ブドウ品種
- 産地と気候の関係
- テイスティング技術
- 保管方法や適切な温度
ワインスクールやオンライン講座に通うのが難しい場合でも、自分のペースで学べます。ワイン関連の本や雑誌を読んだり、ワインアプリを活用して情報を収集したりするのもおすすめです。ワインイベントやテイスティングに参加すれば、実際にワインを味わいながら学べます。
» ワインを楽しむなら知っておきたい!ワインの基礎知識を理解しよう
イベントやワークショップへ参加する


イベントやワークショップへの参加は、ワインの知識を深められ、ペアリングの技術を磨ける素晴らしい機会です。以下のようなイベントがあります。
- ワイン試飲会
- ワインと料理のペアリングイベント
- ワイナリーツアー
- ソムリエによるワインセミナー
- ワインフェスティバル
- チーズとワインのペアリングイベント
イベントでは、ワインの味わいや香り、産地の特徴を実際に体験しながら学べます。単に参加するだけでなく、積極的に質問したり、メモを取ったりしましょう。ワイン愛好家グループに参加すれば、同じ趣味を持つ人々と情報交換や交流を深められます。
自宅で参加できるオンラインワインテイスティングも、知識を深めるためにおすすめです。
珍しいワインを取り入れる
珍しいワインを取り入れると、ワインペアリングの楽しみがさらに広がります。地域特有の希少品種や新興ワイン生産国のワインを探せば、新たな味わいと出会えます。以下のワインを試しましょう。
- オレンジワイン
- ナチュラルワイン
- ビオディナミ農法で作られたワイン
- 古代品種から作られたワイン
- 珍しい醸造法で作られたワイン
限定生産や小規模生産のワインを見つけたり、珍しい容器や包装のワインを選んだりするのもユニークな方法です。ヴィンテージや古酒、珍しいブレンドや混醸のワインにも注目してみましょう。おいしいワインと料理を合わせると、新しい味わいや意外な組み合わせが楽しめます。



ワインの世界は奥が深いため、探求心を持って珍しいワインに挑戦してみてください。
まとめ


ワインペアリングは、ワインと料理の組み合わせを楽しむ素晴らしい方法です。色や産地、香り、味わい、温度を考慮すると、より豊かな食体験が得られます。対照的な組み合わせも面白い発見につながります。トマト料理と白ワイン、チーズと赤ワインなど、定番の組み合わせを試すのもおすすめです。
日常の食卓やレストランでペアリングを楽しむと、ワインへの理解が深まります。季節感を取り入れ、ワインの知識を増やすと、さらに楽しみが広がります。イベントやワークショップに参加して経験を積んだり、珍しいワインを試したりしましょう。
ワインペアリングは、ワインを楽しむ新しい扉を開きます。自分なりの組み合わせを見つけて楽しみましょう。