赤ワインと白ワインは、いずれも魅力がありますが、両者の違いを理解していない人は多いです。この記事では、赤ワインと白ワインの主な違いについて解説します。記事を読めば、それぞれの魅力が深まり、ワインを今よりもっとおいしく味わえます。

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ワインのプロが、初心者の人にもわかりやすく解説します。
赤ワインと白ワインの違い


赤ワインと白ワインの違いは、以下のとおりです。
- 色の違いの秘密
- ブドウの種類の違い
- 赤ワインと白ワインの製造過程の違い
それぞれの違いが、ワインの味わいや香り、色に大きく影響を与えます。
色の違いの秘密
赤ワインと白ワインの色の違いは、製造過程でのブドウの皮の扱いによって生じます。赤ワイン特有の赤色は、皮に含まれる色素である「アントシアニン」の色です。ブドウの皮を果汁と一緒に発酵させるため「アントシアニン」が果汁に溶け出します。
白ワインはブドウの皮を取り除いた後、果肉のみを使用して発酵させるため、色が薄く、透明感のある色合いです。ロゼワインの場合、皮と果汁の接触時間を短くすると淡いピンク色になります。
ブドウの種類の違い


ブドウの皮の色と厚さは、ワインの色調や味わいに直接影響を与えるため、ワイン用に選ばれるブドウ品種が存在します。代表的な品種は、以下のとおりです。
- 赤ワインに用いられる代表的な品種
- 主にカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、ピノ・ノワールを使用します。皮が厚く色素が豊富なため、抽出されるワインは色が濃く、しっかりとした味わいです。
- 白ワインに用いられる代表的な品種
- 主にシャルドネやソーヴィニヨン・ブラン、リースリングを使用します。色素が少ないため、生成されるワインは色が薄く、透明感があります。
ワインの多様性を生み出す要因の一つは、地域によって栽培されるブドウの種類が異なることです。地域ごとの気候や土壌はブドウの成長に影響を与え、ワインの味わいにも反映されます。ブドウの種類はワインの風味を左右する重要な要素であり、赤ワインと白ワインの違いを理解するうえで欠かせません。
赤ワインと白ワインの製造過程の違い
使用するブドウの部分と発酵の方法に焦点を当てて解説します。赤ワインはブドウの皮や種、果肉を一緒に発酵させるため、色素とタンニンを含み、特有の色と味わいを生み出します。果肉のみを使用したワインが白ワインです。皮や種との接触時間を最小限に抑えると、色が抽出されず軽やかな味わいが保たれます。
発酵温度にも違いがあります。赤ワインは15~32℃で発酵させますが、白ワインの発酵温度は12~22℃です。ワインの風味やアロマが最適に引き出されるよう調整されます。発酵後の処理にも違いがあります。赤ワインではマロラクティック発酵で発酵させますが、白ワインでは省略することが多いです。
マロラクティック発酵はワインの酸味をまろやかにし、赤ワインの味わいに深みを加える効果があります。赤ワインは主にオーク樽で熟成されます。白ワインでは主にステンレスタンクで熟成されるため、フレッシュな風味が一般的です。
赤ワインと白ワインの成分の違い


赤ワインと白ワインの成分には明確な違いがあります。注目されているのは、ポリフェノールの種類と量です。成分の違いは、ワインごとの独特の特性と密接な関連があります。
赤ワインに含まれるポリフェノール
赤ワインに含まれるポリフェノールは抗酸化物質として働き、心臓病のリスクを減らす効果があるとされています。注目される成分はレスベラトロールです。ポリフェノールは、ブドウの皮や種に多く含まれています。製造過程でブドウの皮や種が使用されるため、赤ワインはポリフェノールを豊富に含みます。
白ワインの酸味
酸味の主な要因は、使用されるブドウ品種と栽培される気候条件の違いです。涼しい気候で育ったブドウから作られる白ワインは、酸味の強さが特徴です。酸味はワインに新鮮さを感じさせ、味のバランス調整に寄与し、飲みやすさを向上させる効果があります。
リンゴ酸やクエン酸といった成分が白ワインの酸味のもとです。酸の成分は風味以外にも、保存期間中の品質保持や味わいの進化にも影響を与えるため、製造過程で注意深く管理されます。白ワインの酸味は魅力的な味わいを生み出すうえで不可欠です。
赤ワインと白ワインの味と香りの違い


赤ワインと白ワインの味と香りの違いは、それぞれのワインの個性を形成する重要な要素です。ワインを選ぶ際や料理との相性を考えるうえで役立ちます。
赤ワインのタンニンが生む奥深い味わい
赤ワイン独特の渋味と奥深い味わいは、タンニンによって生み出されます。タンニンの抗酸化作用は、赤ワインが健康的な選択肢として飲まれる理由の一つです。ワインが熟成するにつれてタンニンは柔らかく、口当たりがまろやかになるため、エイジングによる味わいの変化も楽しめます。
品種や製造過程、熟成期間によってタンニンの量や質は異なります。味わいの違いを楽しむことも、赤ワインの大きな魅力の一つです。



長期熟成したワインでも、まだタンニンが強いこともあります。
その場合は、デキャンタージュすると味わいが柔らかくなります。
白ワインのアロマとフルーティな香り
白ワインを楽しむとき、香りは重要な要素です。白ワインのアロマは、新鮮な果実や花、ハーブの香りが特徴的で、魅力の一つとなっています。リンゴや洋ナシ、柑橘類、トロピカルフルーツなどの香りが感じられるワインが多いです。フルーティな香りは、白ワインをよりフレッシュで爽やかな印象にさせます。
バニラやトーストのような香りがある場合、木製の樽で発酵させる方法を採用しているケースが多いです。木製の樽で発酵させると、複雑で深みのある香りを楽しめます。白ワインのアロマとフルーティな香りは、種類や製造方法によってさまざまな表情を見せます。
それぞれの白ワインが持つ独特の香りの嗅ぎ分けは、白ワインを深く理解し、楽しむための鍵です。
赤ワインと白ワインに合う料理の違い


赤ワインと白ワインはそれぞれに異なる特性をもっています。料理とのペアリングにおいても特性を活かした選び方が重要です。
赤ワインに合う料理とその理由
赤ワインに合う料理は、以下のとおりです。
- 赤身肉
- トマトベースの料理
- 熟成チーズ
- チョコレートデザートなど
赤ワインに含まれるタンニンが料理の味わいを引き立てる役割を果たします。ステーキや焼肉などの赤身肉と赤ワインの組み合わせは、タンニンが肉の脂質と結合し、まろやかな味わいを楽しむことが可能です。トマトベースのパスタやピザと赤ワインの組み合わせは、酸味がマッチして味のバランスが取れます。
熟成チーズはタンニンによってクリーミーな口当たりが引き締まり、絶妙な味わいのハーモニーを生み出します。



メルローのチョコっぽさは、チョコレートデザートにぴったりです。
白ワインに合う料理とその理由


白ワインは清涼感と果実味が特徴であり、さまざまな料理と相性が良いです。魚介類や軽めの肉料理、クリームソースを使った料理との組み合わせがおすすめです。白ワインに含まれる酸味が、料理の油分や重さを中和し、味のバランスを整える効果があります。
白身魚のムニエルやカルパッチョ、シーフードパスタなど、魚介類を使った料理は、白ワインの爽やかな酸味と良く合います。フレッシュチーズやハーブ、柑橘類を使った料理とも相性が良いです。食材のフレッシュな風味を白ワインが引き出します。



フルーツを使ったタルトやケーキも、白ワインとの相性は抜群です!
ペアリングの基本ルール
ワインと料理のペアリングは、食事をより楽しむために重要です。基本的なルールとして「重い料理には重いワイン、軽い料理には軽いワイン」の選択が一般的です。シンプルな原則に従えば、料理とワインの組み合わせが互いの味を引き立てます。
ワインと料理が同じ地域で生産されている場合には、地理的な調和の注目もおすすめです。地理的なペアリングにより、料理とワインのハーモニーが深まります。料理の主要な味覚(甘い・酸っぱい・塩辛い・苦い)を考慮したワインの選択も大切なポイントです。
赤ワインと白ワインの保存方法の違い


赤ワインと白ワインの保存方法は異なり、それぞれの特性に合わせた適切な保管が重要です。
保存期間の違い
赤ワインと白ワインの保存期間には違いがあります。赤ワインはタンニンを多く含むため、適切な環境で長期間の保存が可能です。時間が経つにつれて味わいも深くなる特性があります。白ワインは酸度が保存性に影響を及ぼすため、早めに飲み切りましょう。
赤ワインは数年から数十年の保存が可能で、高品質なワインほど保存期間が延びる傾向にあります。白ワインは製造後2~3年以内に飲むことが一般的です。高品質な白ワインの中には、長期間の保存が可能なワインもあります。赤ワインと白ワインでは保存期間が異なるため、購入後の保管計画が重要です。
適切な保存期間を守れば、ワイン本来の味わいを最大限に楽しめます。
保存条件の違い
赤ワインと白ワインの保存には異なる条件があります。違いは以下のとおりです。
- 赤ワインの保存条件
- 直射日光を避けて涼しく暗い場所へ保管します。温度変化に比較的強いものの、極端な高温や低温は避けるべきです。
- 白ワインの保存条件
- 10℃前後での保存が理想的です。一般的にはワインセラーか冷蔵庫での保存が推奨されます。開封後の白ワインも冷蔵が必要です。
赤ワインと白ワイン共通のポイントとして、ボトルを横にしてコルクの乾燥を防ぐ保管方法が推奨されています。
赤ワインと白ワインの違いを楽しむための知識


赤ワインと白ワインの違いを楽しむために、以下の知識を覚えましょう。
- 赤ワインと白ワインに適した温度
- 赤ワインと白ワインに適したグラスの形状
赤ワインと白ワインに適した温度
ワインをおいしく楽しむためには、適切な温度での提供が重要です。赤ワインの最適な温度は一般的に16~18℃です。赤ワイン本来のフルーティな香りやまろやかさが引き立ちます。高品質のフルボディ赤ワインの場合、少し温度が高めの18~20℃で飲むと、より風味が豊かに感じられます。
白ワインは8~12℃での提供が理想的です。白ワインの爽やかな酸味やフルーティな味わいが際立ちます。シャンパンやスパークリングワインは、より冷たい6~8℃で提供すると良く、刺激的な泡立ちとともに清涼感を楽しめます。
» シャンパンとスパークリングワインの違いは何?選び方と楽しみ方
赤ワインと白ワインでは提供温度が異なるため、ワインの種類に応じて適切に温度管理をしましょう。
赤ワインと白ワインに適したグラスの形状
赤ワインと白ワインを最大限に楽しむために、適したグラスを使用してください。赤ワイン用グラスはボウルが大きく、広がりがありながら口が狭めに設計されている点が特徴です。ボウルが大きいため、酸素と接触する面積が増え、香りが引き立ちます。ワインをグラスの中で軽く回せば、香り成分が開放されやすい形状です。
白ワイン用グラスは比較的小さく、縦長で、狭い開口部が特徴です。デリケートな香りが逃げるのを防ぎつつ、飲み口からワインが直接舌の中央に流れ込むように設計されています。冷たい温度も保ちやすい形状です。樽で発酵または熟成された白ワインの場合は、やや大きめのグラスを使用しても良いとされています。
初心者向けの赤ワインと白ワインの選び方


初めての人にとって赤ワインと白ワインの選択は、やや難易度が高いです。いくつかのポイントを押さえると、自分の好みに合ったワインを見つけられます。初心者へのアドバイスとして、果実味があり飲みやすいワインから始めることをおすすめします。
ワイン選びにおいて重要なのは、値段だけでなく、産地や収穫年などのラベル情報のチェックです。品質が保証されたワインを選ぶ手助けとなります。試飲の機会があれば、さまざまな種類のワインを実際に味わうと、より確かな選択が可能です。
初心者におすすめの赤ワイン
初心者におすすめの赤ワインは、以下のとおりです。
- メルロー
- ピノ・ノワール
- シラー
- カベルネ・ソーヴィニヨン
- キャンティ
紹介したワインは果実味が豊かで、タンニンが柔らかい、またはバランスが取れています。飲みやすく、多くの料理とも相性が良いです。 メルローは柔らかな口当たりで初心者が飲みやすく、ピノ・ノワールの軽やかなボディは赤ワイン入門に最適です。シラーはスパイシーでフルーティな味わいに特徴があります。



カベルネ・ソーヴィニヨンは、濃厚で力強い味わいが特徴です。渋みが少なく、果実味やバランスがよいものも多いです。
初心者におすすめの白ワイン
初心者におすすめの白ワインは、以下のとおりです。
- シャルドネ
- ソーヴィニヨン・ブラン
- ピノ・グリージョ
- リースリング
- モスカート
白ワインはフルーティな香りと飲みやすさから、多くの人に愛されています。ワイン初心者には、軽やかで親しみやすい味わいがおすすめです。シャルドネはフルーティでバタリーな風味が感じられ、クリーミーで豊かな味わいが特徴です。ソーヴィニヨン・ブランは爽やかでハーブのような香りがあります。酸味が強いため、ソーヴィニヨン・ブランは食事と一緒に楽しむ際にぴったりです。
ピノ・グリージョは軽やかで柔らかな口当たりが魅力的で、フルーティなアロマが楽しめます。リースリングは果実味と酸味のバランスが良く、スパイシーな料理との相性が抜群です。モスカートは甘くてフルーティで、デザートワインとしても高い人気を誇ります。
それぞれに個性があり、さまざまな料理やシーンに合わせて選べます。ワイン選びの際は、個別の特徴を理解し、自分の好みやシチュエーションに合ったワインを選びましょう。白ワインの世界は奥深く、初心者からワイン愛好家まで幅広く楽しめます。
まとめ


赤ワインと白ワインの違いへの理解は、ワイン選びやペアリング、保存方法にも大きく影響します。赤ワインは、肉料理とのペアリングに適しており、長期保存も可能です。白ワインは、魚介類や軽い料理との相性が良く、短期間で消費することが一般的です。
当記事を読んで得た知識を活かし、食事やシチュエーションに合わせてワインを選ぶと、より豊かな食卓を演出できます。
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