料理用ワインを上手く活用できないと悩む人は多くいます。この記事では、料理用ワインの基礎知識や選び方、保存方法、おすすめレシピなどを解説します。記事を読めば、料理用ワインを効果的に活用する方法がわかり、料理の味わいを格段に向上させることが可能です。

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ワインのプロが、初心者の人にもわかりやすく解説します。
料理用ワインの基礎知識


料理用ワインの基礎知識について以下のポイントを解説します。
- 飲用ワインとの違い
- 料理に特化した成分や特徴
飲用ワインとの違い
料理用ワインは、飲用ワインとは異なる特徴を持っています。主な違いは、アルコール度数と塩分の含有量です。料理用ワインは通常、アルコール度数が15〜17%と高めに設定されています。調理過程での加熱を考慮しているためです。一方、飲用ワインのアルコール度数は一般的に12〜14%程度です。
料理用ワインには塩分が添加されており、長期保存が可能で、調理時の味付けにも役立ちます。しかし、飲用には適しません。飲用ワインとは異なる目的で作られているので、用途に応じて選択しましょう。
» 楽しみ方が変わる!ワインのアルコール度数が決まるポイントと味わい方
料理に特化した成分や特徴
料理用ワインには、料理の味を引き立てる特別な成分や特徴があります。料理用ワインは、酸味が強く、香りや風味が濃縮されているのが特徴です。白ワインは糖分が多く、赤ワインはタンニンが控えめです。
料理用ワインには、肉を柔らかくするタンパク質分解酵素や、魚の臭み消しに効果的な酸味成分も含まれています。料理の質を向上させるうえで重要な役割を果たします。料理の風味を引き立てる効果がありますが、添加物(保存料など)が含まれることがあるので注意が必要です。
価格面では、通常のワインと比べて比較的安く手に入ります。調理過程で蒸発しやすい揮発性成分が少ないので、料理に使いやすいアイテムです。
» ワインの基礎知識から各種ワインの違い、選び方を詳しく解説!
料理用ワインを使うメリット


料理用ワインを使うメリットには以下の点が挙げられます。
- 料理の風味を引き立てる
- 肉料理を柔らかくする
- 魚料理の臭みを消す
料理の風味を引き立てる
料理用ワインのメリットは、料理の風味を引き立てる役割があることです。アルコールが食材の風味を引き出し、酸味が料理全体をさっぱりとさせます。タンニンが肉料理の旨味を増強する働きもあります。期待できる効果は以下のとおりです。
- ワインの香りが料理に複雑さを加える
- 旨味成分が溶け出しやすくなり、素材本来の味を引き立てる
- 料理に深みと奥行きを与える
- 砂糖と酸のバランスが調整しやすくなる
- 長時間加熱することで旨味が凝縮される
- 料理の風味が全体的に調和する
料理用ワインは単なる調味料以上の役割を果たし、料理の味わいを豊かにする重要な要素です。料理に合わせて適切なワインを選べば、よりおいしい料理を作れます。
肉料理を柔らかくする


料理用ワインの使用は、肉料理を柔らかくするために効果的です。ワインに含まれるアルコールが肉のタンパク質を分解し、酸が結合組織を軟化させます。肉の臭みを抑え、肉の風味を引き立てる効果があります。調理時間の短縮にも有効です。
赤ワインのタンニンが肉の旨味成分と結合するので、牛肉や羊肉に適しており、長時間煮込む料理に向いています。ワインをマリネ液として使うのも効果的ですが、使いすぎに注意しましょう。ワインを上手に使うと、柔らかくておいしい肉料理を作れます。



カレーのコクを出すのに、赤ワインを入れるのもおいしいです。
魚料理の臭みを消す
白ワインの使用は、魚料理の臭みを消すために効果的です。白ワインに含まれるアルコールと酸が魚の生臭さを中和し、ポリフェノールが臭み成分を分解します。魚の種類や調理法に合わせて活用すれば、よりおいしい魚料理を楽しめます。白ワインを使って魚料理の臭みを消す方法は、以下のとおりです。
- 魚の表面に白ワインを振りかけて下処理をする
- 調理中に白ワインを加えて蒸発させる
- レモンやハーブと組み合わせて相乗効果を得る
- 魚の種類によってワインの量を調整する
- 白ワインビネガーを使用する
- 魚を白ワインに漬け込んでマリネする
- ソースやスープに加えて風味付けをする
- 白ワインで魚を蒸し焼きにする
【種類別】料理用ワインの選び方


料理用ワインの選び方を以下の種類別に解説します。
- 赤ワイン
- 白ワイン



料理用ワインは飲用ワインと違って、商品ごとの違いがわかりにくいです。そのため、以下の点を基準にすれば最適の商品を選べます。
- 添加物(塩分や酸化防止剤など)の有無
- 容量(サイズ)
- 価格
- 産地
赤ワイン
料理用の赤ワインは、甘口よりも辛口のフルボディタイプを選ぶのがおすすめです。フルボディタイプはタンニンを多く含み、肉をやわらかくする作用があるため、煮込み料理に最適です。トマトやデミグラスソースとの相性も良く、料理に深みを与えてくれます。
市販の料理用ワインには、塩分が加えられていることがあるため、無添加でクセの少ない赤ワインを選ぶのもポイントです。使用頻度に合わせて、少量サイズやボックスワインなど、使い切りやすいタイプを選べば、酸化による風味の劣化も防げます。
» ワインと肉料理のペアリングの基本から応用までを紹介!
料理用赤ワインの主な用途は以下のとおりです。
- 牛肉やラムなど赤身肉と一緒に煮込む
- デミグラスソースやトマトソースのコクを出す
- ミートソース、ビーフシチューの隠し味に使う
- 赤ワインソースのベースとして使う
赤ワインは抗酸化作用があるポリフェノールを含んでおり、香りとコクをプラスできます。開封後は冷蔵保存し、3〜5日以内を目安に使い切りましょう。



赤の飲用ワインを料理に使う場合は、ボディの強弱だけでなく、香りの強弱でブドウ品種を選ぶこともポイント!
カベルネソーヴィニヨンやメルローが使いやすくておすすめです。
白ワイン
白ワインは、魚介類や鶏肉料理に最適です。爽やかな酸味が特徴で、料理に新鮮さを加えます。料理用の白ワインを選ぶ際は、甘口よりも辛口がおすすめです。白ワインの主な用途は以下のとおりです。
- 白身魚のソテーやムニエルを調理する
- クリームソースやバターソースの基本材料になる
- 料理の風味を引き立てる
- 魚や肉の臭みを消す
白ワインは調理以外にも、白ワインビネガーの代用としても使えます。開封後は冷蔵庫で保存し、1週間程度で使い切るのが望ましいです。アルコール度数は通常10〜14%程度です。白ワインを上手に使うと、料理の味わいが格段に向上します。魚介類や鶏肉料理を作る際は白ワインを活用しましょう。
» ワイン選びの基本からおいしく飲むためのポイントを紹介!
» 赤ワインと白ワインの違いを知っておいしく楽しもう!



白の飲用ワインを料理に使う場合は、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランなど、香りが穏やかで酸味の高いブドウ品種がおすすめです。
料理用ワインの保存方法


料理用ワインの保存方法を以下のケース別に解説します。
- 開封後のワイン
- 未開封のワイン
開封後のワイン
開封後のワインは、適切に保存すると風味を長く楽しめます。冷蔵庫で保存し、1週間程度で使い切るのが理想です。空気との接触を最小限に抑えるのが重要なポイントです。ワインキーパーやボトルの口を小さくする専用の栓を使えば、空気との接触を防げます。
» ワインの保存方法を正しく知ろう!
真空ポンプで空気を抜いたり、小さなボトルに移し替えたりするのも効果的です。保存する際は、赤ワインは室温で、白ワインは冷蔵庫で保存するのがおすすめです。ボトルは横にせず、必ず立てて保存しましょう。直射日光や高温は避けてください。
料理用として使用する場合は冷凍保存も可能ですが、風味が損なわれることもあるので注意が必要です。適切な保存方法を選べば、開封後のワインを最後までおいしく活用できます。
未開封のワイン
未開封のワインを保存する際は、以下の点に注意しましょう。
- 冷暗所で保存する
- 直射日光を避ける
- 温度変化の少ない場所で保管する
- 横に寝かせて保存する
- コルク栓が乾燥しないよう注意する
保存環境によっては追加の対策が必要な場合もあります。振動を避けることや、強い匂いのするものから離して保管すること、適切な湿度(50〜80%)を保つことなどが挙げられます。



栓がコルク以外は、横に寝かせたり乾燥を気にする必要はありません。
長期保存を考えている場合は、ワインセラーの使用を検討するのもおすすめです。ワインセラーを使用すると、温度や湿度を一定に保ちやすくなります。未開封のワインでも賞味期限があることを忘れないでください。適切な期間内に消費すれば、最高の状態でワインを楽しめます。
» ワインの賞味期限は?飲み頃から賞味期限を伸ばすコツまで紹介
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料理用ワインがないときの代用品


料理用ワインがないときの代用品について解説します。
赤ワインの代用品
赤ワインが手元にない場合でも、代用品を使って料理の風味を再現することが可能です。赤ワインの代わりになる食材に挙げられるのは以下のとおりです。
- 赤ぶどうジュース
- ザクロジュース
- クランベリージュース
- ワインビネガー
- 赤ワインビネガー
- バルサミコ酢
代用品は、赤ワインに似た酸味や果実の風味を持っているので、料理に深みを与えられます。ただし、アルコール分がないため、赤ワイン特有の複雑な味わいは再現できません。代用品を選ぶ際は、料理の種類や目的に合わせて選びましょう。
肉料理には、赤ぶどうジュースやザクロジュースが適しています。酸味が欲しい場合は、ワインビネガーやバルサミコ酢がおすすめです。代用品を使う場合は、赤ワインよりも少なめの量から始めて、味を見ながら調整しましょう。
白ワインの代用品
白ワインの代用品には、以下のアイテムが挙げられます。
- 料理酒
- レモン汁
- 白ぶどうジュース
- りんご酢
- 白ワインビネガー
- 日本酒
- チキンブイヨン
- ドライベルモット
代用品は、料理の種類や目的によって使い分けましょう。魚料理の臭み消しには料理酒や日本酒が適しています。酸味が必要な場合は、レモン汁やりんご酢を使うのがおすすめです。白ぶどうジュースは、フルーティーな風味を出したいときに適しています。
代用品を使う際は、白ワインの持つ酸味や風味を考慮して選ぶことが大切です。完全に同じ味を再現するのは難しいので、料理の味が変わる可能性がある点を念頭に置いてください。白ワインの代用品を上手に活用すれば、手元に白ワインがなくてもおいしい料理を作れます。



ドライベルモットとは、白ワインをベースにハーブやスパイス、果実などを加えて作られた「フレーバードワイン」です。



ドライベルモットは風味が強く、ほのかな苦みもあります。ノイリー・プラットやチンザノが有名です。
料理用ワインを使ったおすすめレシピ


料理用ワインを使ったオシャレレシピのおすすめは以下のとおりです。
- 牛肉の赤ワイン煮込み
- シーフードの白ワイン蒸し
- ワインを使ったフルーツゼリー
牛肉の赤ワイン煮込み


牛肉の赤ワイン煮込みは、赤ワインと牛肉の相性が抜群の料理です。赤ワインの深い味わいと牛肉の旨みが絶妙に調和します。主な材料は以下のとおりです。
- 牛肉(肩ロースや煮込み用の赤身肉)
- 赤ワイン(フルボディのカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー)
- 玉ねぎ
- にんじん
- セロリ
- ニンニク
- ハーブ
牛肉の表面をしっかりと焼き、野菜を炒めた後、赤ワインと煮汁(フォン・ド・ヴォーやコンソメ)を加えて煮込みましょう。煮込み時間は2〜3時間程度で、弱火でゆっくりと調理するのがポイントです。仕上げにソースの濃度を調整し、味を確認してください。付け合わせには、マッシュポテトやパンがおすすめです。
飲用ワインで煮込んだ場合、料理に使った赤ワインを一緒に楽しむと、より深い味わいを堪能できます。牛肉の赤ワイン煮込みは、作り置きにも適しています。保存する場合は、冷蔵庫で2〜3日、冷凍庫なら1か月程度保存可能です。再加熱する際は、焦げ付かないよう注意して温めてください。
野菜の種類を変えたり、香辛料を加えたりするアレンジ方法により、オリジナリティのある1品に仕上げられます。
シーフードの白ワイン蒸し


シーフードの白ワイン蒸しは、簡単に作れる上品な料理です。新鮮なエビやホタテ、イカなどのシーフードと、辛口の白ワインを使うのがポイントです。オリーブオイルでシーフードを軽く炒め、ニンニクや玉ねぎ、パセリなどの香味野菜を加えます。白ワインを入れて蒸し煮にし、レモン汁を加えて風味を引き立てます。
塩やコショウで味を調整し、バターを加えるとコクを出すことが可能です。蒸し時間は短めにして、シーフードの食感を保ちましょう。仕上げにパセリをちらすと彩りが良くなります。白ワインの酸味がシーフードの旨味を引き出し、おいしい料理に仕上がります。短時間で作れるので、忙しい日の夕食にも最適です。
ワインを使ったフルーツゼリー


ワインを使ったフルーツゼリーは、大人向けのおしゃれなデザートとして人気があります。ワインの風味とフルーツの甘みとのバランスが絶妙な1品です。ワインを使ったフルーツゼリーの魅力は以下のとおりです。
- 季節のフルーツを活用できる
- 赤ワインや白ワイン、スパークリングワインを使い分けられる
- ゼラチンの量で食感を調整できる
冷蔵庫で固めるだけなので簡単に作れます。パーティーや特別な日のメニューにぴったりです。アルコール分が気になる場合は、ワインを煮詰めてアルコールを飛ばしましょう。
飾り付けやトッピングを工夫すれば、さらに華やかな印象になります。フルーツやワインの種類を変えれば、さまざまなバリエーションを楽しめます。ワインを使ったフルーツゼリーは、ワインの新しい楽しみ方を発見できる素敵なデザートです。
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料理用ワインに関するよくある質問


料理用ワインに関するよくある質問に回答します。
- 料理用ワインの賞味期限は?
- 飲用ワインは料理に使える?
料理用ワインの賞味期限は?
料理用ワインの賞味期限は、開封後と未開封で異なります。開封後は1〜2週間程度で使い切るのが理想的です。冷蔵保存すれば1か月程度持ちます。未開封の場合は、製造日から1〜2年程度の賞味期限があります。アルコール度数が高いほど長持ちする傾向にあり、塩分や添加物が入っている場合は、さらに長期保存が可能です。
変色や異臭がある場合は使用を控えましょう。賞味期限が少し過ぎても、すぐに捨てる必要はありません。料理に使う場合には、多少期限が切れていても問題ないことが多くあります。開封後は密閉して保存することが重要で、長期保存する場合は冷凍も可能です。冷暗所で保管すれば品質を保てます。
酸化を防ぐため空気に触れないよう注意しましょう。清潔な容器に移し替えると雑菌の繁殖を防げます。
飲用ワインは料理に使える?
飲用ワインは料理に使うことが可能です。料理用ワインと同様に、飲用ワインも料理の風味を豊かにする効果があります。飲用ワインを料理に使用すると、複雑な風味を料理に加えられるのがメリットです。アルコール度数が高いため、少量で十分な効果が得られます。
使用する際の注意点もあります。高価なワインは加熱で風味が失われるので避けましょう。塩分を含む料理用ワインと違い、飲用ワインを使う場合は塩分調整が必要です。飲用ワインを料理に使う方法には、以下が挙げられます。
- 肉や魚をワインに漬け込む
- ソースやスープの仕上げに少量加える
- デザートや甘い料理に甘口ワインを使う
開封後のワインは冷蔵保存し、数日以内に使い切ることをおすすめします。飲用ワインを料理に使う場合は、アルコール度数に注意しましょう。
まとめ


料理用ワインは、飲用ワインとは異なり、料理に特化した成分や特徴を持ちます。料理の風味を引き立てるほか、魚の臭み消しや肉を柔らかくするために効果的です。赤ワインと白ワインで使い分けが必要で、保存方法も開封後と未開封で異なります。
料理用ワインがない場合は、料理酒やジュース、ビネガーなどの代用品を活用できます。適切に使い分ければ、料理の味を引き立てることが可能です。料理用ワインを上手に活用して、料理の幅を広げましょう。
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